※本記事は、農業協同組合新聞(JACOM)2025年7月23日掲載記事
「地方創生には深い闇がある 『過疎ビジネス』が突きつける“制度の死角”」の内容を参考に、Grean Loop編集部が再構成・解説したものです。
引用元:https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2025/07/250723-83423.php
自治体を“稼ぐ道具”にするスキーム
舞台は福島県の小さな町・国見町。果樹栽培で知られるこの町で、2022年に始まったのは「企業版ふるさと納税」4.3億円を活用した高規格救急車の導入事業でした。
一見、公共性が高く見えるこのプロジェクトの裏には、ある仕掛けが潜んでいました。
寄付を行ったDMM.comグループは、その9割を税控除で回収しつつ、傘下企業のベルリング社を通じて事業を受注。さらに、コンサル企業「ワンテーブル」が事前に仕様書に関与することで、受注が内定済みのような構造が作られていたのです。
「雑魚だから」地方議員を軽視する言葉の衝撃
本書の白眉は、仕組みを設計したワンテーブル社長の音声記録をもとに、その本音を暴露している点です。
「田舎の自治体がいいんですよ。無視されちゃうちっちゃい自治体が」
「(地方議員は)雑魚だから」
といった発言の数々は、制度がどのように“踏み台”にされているかを強烈に示しています。
一方で、こうした構造に疑問を持った町議たちの行動や、町職員による公益通報が、状況を変える原動力となった点も見逃せません。
「地方創生」から外された“住民の幸福”
このスキームで導入された高規格救急車は、町内ではまったく使用されていません。リースで得られる収益も町ではなく企業側へ。つまり、地域にはほとんど恩恵がないまま、制度が“収益化”されていたのです。
横山氏は、こうした構図が国見町だけでなく、全国の「小さく見過ごされがちな自治体」で広がり得ると警鐘を鳴らします。
Grean Loop編集部の視点:制度の“余白”にこそ、地域の声を
Grean Loop編集部として注目したいのは、本書が描いた「現場の倫理」の重要性です。
制度を使う側の論理に対して、現場で踏みとどまった議員や職員の存在は、まさに“地域で生きる喜び”の体現者と言えるでしょう。
「これこそが地域で生きる喜びだと言える行動と営みを、自分の胸に手を当てて考え、繰り返し問い直すこと」(エピローグより)
この言葉は、Grean Loopが取り組む地域循環・有機農業の文脈にも響きます。
地方の課題を解決する鍵は、コンサルでも中央の論理でもなく、「地域に根ざした現場の知恵と問い」にあると、私たちは考えます。
※出典:農業協同組合新聞(JACOM)2025年7月23日掲載
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2025/07/250723-83423.php
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