※本記事は、日本農業新聞(JACOM、2025年12月2日掲載)
「深谷市『DEEP VALLEY Agritech Award 2025』最優秀賞はエンドファイト」
(https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2025/12/251202-86040.php)を参考に、Grean Loop編集部が再構成・解説したものです。
持続可能な農業モデルの実装へ、微生物研究の新たな可能性
埼玉県深谷市は、全国の農業課題を解決するためのビジネスコンテスト「DEEP VALLEY Agritech Award 2025」の受賞者を発表した。最終審査と表彰式は10月15日、深谷市役所で開催。持続可能な農業技術やビジネスモデルの実装を目指す企業が全国から集まった。
「DEEP VALLEY Agritech Award」は、儲かる農業都市を掲げる深谷市が2019年から継続して取り組むプロジェクト。農業×テクノロジー、農業×ビジネスといった新規性の高いアイデアを評価し、市内での実証実験や連携へとつなげてきた。
2025年度は「農業×〇〇=未来」をテーマに28社が応募。気候変動や資材高騰といった構造的課題に向き合い、農業の新たな未来を切り拓く提案が寄せられた。
最優秀賞:株式会社エンドファイト(東京都)
エンドファイトは、筑波大学・茨城大学発のスタートアップ。社名の由来でもある“植物内生菌(エンドファイト)”の研究を基盤に、**dark septate endophyte(DSE)**の大規模ライブラリを構築している。
このライブラリを活用することで、作物ごとに適した菌株を選定し、
生育促進
環境ストレス耐性の向上
花芽分化の促進
栄養成分量の向上
といった効果を実現することを目指す。
気候変動や肥料コストの高騰、農薬依存の課題が深刻化する中、同社の微生物技術は“化学肥料に過度に頼らない農業”を実現する手段として期待されている。
深谷市から全国の産地へ、持続可能な栽培モデルを広げていく構想だ。
優秀賞:株式会社アイナックシステム(福岡県)
アイナックシステムは、「農業×スマート制御=未来」をテーマに提案を行った。
工場自動化技術を農業分野に応用しており、京都府との共同研究による万願寺とうがらしの自動収穫ロボットが国家プロジェクトに採択されるなど、実績も豊富だ。
今回の提案では、
圃場の必要な場所だけを効率よく温める 局所土壌ヒーターシステム
省エネルギーと収量・品質の向上を両立するスマート制御
といった仕組みによって、農家の収益性を高めつつ、環境負荷も抑える農業経営モデルを提示した。
協賛企業賞
シタラ興産賞:株式会社レボーン(東京都)
埼玉りそな銀行賞:株式会社WAKU(岡山県)
神鋼鋼線工業賞:株式会社きゅうりトマトなすび(東京都)
GRAND FARM賞:株式会社WAKU(岡山県)
ファイナリスト
株式会社エンドファイト
株式会社アイナックシステム
株式会社レボーン
株式会社WAKU
株式会社きゅうりトマトなすび
サグリ株式会社
参考リンク:DEEP VALLEY Agritech Award 2025
公式サイト:https://agritechaward.deep-valley.jp/
Grean Loop編集部コメント
深谷市が継続して実施している「DEEP VALLEY Agritech Award」は、自治体が“アグリテックのハブ”として機能する好例と言えます。
エンドファイトのような微生物スタートアップが地方の農業現場とつながることで、実証実験から実装までのスピードが一気に高まります。
また、スマート制御やロボット技術を持つアイナックシステム、金融機関や企業賞を受賞した各社の取り組みも含め、
生産現場の負担軽減
収益性の向上
環境負荷の低減
を同時に目指す“多層的なイノベーション”が集まっている点が印象的です。
今後、Grean Loopとしても、こうしたアワード受賞企業のその後の実装状況や、農家との連携事例を継続的に追いかけていきたいと考えています。
出典:日本農業新聞(JACOM)
「深谷市『DEEP VALLEY Agritech Award 2025』最優秀賞はエンドファイト」
(https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2025/12/251202-86040.php)
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