農業ニュース

低迷する食料自給率、問われる「実行力」

※本記事は、日本農業新聞(2025年11月6日掲載)
「[論説]低迷続く食料自給率 高市首相言及『大幅引き上げ』 具体的な道筋を」(Yahoo!ニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/de42cbda1e3333dce665f0fddd70d469eebf880c)を参考に、Grean Loop編集部が再構成・解説したものです。

高市首相が掲げる「大幅引き上げ」に求められる現実的ロードマップ

2024年度の日本の食料自給率(供給カロリーベース)は38%
前年度から横ばいが続き、15年連続で40%を下回る状況が続いています。
世界的な気候変動や国際紛争により食料供給が不安定化するなか、
「国内でどれだけ食料を賄えるか」という課題が、
いま改めて国民的テーマとして浮上しています。

高市首相「日本も100%に近づける」

自民党総裁選で、高市早苗首相は
「米国もカナダもフランスも100%を超えている。日本もそれに限りなく近づける」と述べ、
**食料自給率の“大幅な引き上げ”**に強い意欲を示しました。
しかし、現実には米や砂糖原料など一部作物で増産が見られる一方、
小麦や大豆、野菜の生産量減少が足を引っ張っています。

農業基盤の弱体化に歯止めを

東京商工リサーチの調査によれば、
2025年度上半期(4〜9月)の農業事業者の倒産件数は53件
資材価格の高騰などを背景に、過去30年で最多を記録しました。
持続可能な農業経営を守るためには、
担い手の確保、所得補償制度の整備、
そして農産物価格の適正化が急務です。

Yahoo!ニュースより引用

「麦・大豆」の自給率引き上げがカギ

2024年度の自給率は、
小麦16%、大豆7%にとどまっています。
政府は2027年度から新たな米政策に移行し、
「水田活用の直接支払交付金(水活)」を見直す方針です。
支援対象を水田だけでなく畑にも拡大し、
作物ごとに助成金を出す体制を整える予定ですが、
助成水準を下げないことが前提条件となります。

「農業構造転換集中対策期間」への期待

政府・与党は2025〜2029年度を
農業構造転換集中対策期間」と位置づけ、
国費1.3兆円を含む総額2.5兆円規模の別枠予算を確保。
ただし、財政余力の乏しい地方自治体では
十分に活用できない可能性も指摘されています。

高市首相は「金額をぐっと大きくしたい」と発言しており、
現場の期待に応える実効的な支援策の拡充が求められます。

Grean Loop編集部コメント

食料自給率38%という数字は、単なる統計ではありません。
それは「食の安全を誰が守るのか」という問いでもあります。
農業現場の疲弊を放置したままでは、
どれほど予算を増やしても持続的な構造転換は実現しません。
生産者への直接支援、価格の安定、地域循環型の農業システムを
国民全体で支える視点が、これからの政策には不可欠です。

出典: 日本農業新聞(2025年11月6日掲載)
「[論説]低迷続く食料自給率 高市首相言及『大幅引き上げ』 具体的な道筋を」
Yahoo!ニュース

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