※本記事は、Yahoo!ニュース掲載記事、日本農業新聞（2025年10月30日掲載）
「農家、農村『集約化』で将来バラ色？ 二つの誤り、農村維持へ政策転換を 東京大学特任教授・鈴木宣弘氏」
（https://news.yahoo.co.jp/articles/bc05cd4686da91606443059db68dddf1c1e1c151）を参考に、Grean Loop編集部が再構成・解説したものです。
東京大学特任教授・鈴木宣弘氏が、日本農業の将来に警鐘を鳴らしました。
人口減少を前提に「農業や地域の集約化」を推進すれば効率的だとする風潮に対し、「それは二重の誤りである」と強調しています。
第一の誤り：推計を“未来の確定”と誤解している
鈴木氏によると、現在よく引用される人口・農業の将来推計は「現時点の政策を放置したまま進めば、こうなる」という警告であり、決定論ではありません。
出生率や政策対応が少し変わるだけで将来像は大きく変わるとし、
「統計を読み違え、諦めの前提で政策を立てることが最大の誤りだ」と指摘します。
第二の誤り：集約化が解決策になるという幻想
一部の企業的経営だけが残っても、地域コミュニティが維持できなければ、
「人が住めない原野に戻る」と警鐘を鳴らします。
農村の多面的機能――洪水防止や文化継承、地域社会のつながり――が失われれば、
最終的に食料供給力そのものが崩壊すると警告しました。
必要なのは「集約」ではなく「政策転換」
鈴木氏は、農家や地域を守るためには積極財政による支援が不可欠だと訴えます。
生産者と消費者の価格ギャップを埋める仕組みや、政府備蓄の買い入れ・放出ルールの明確化など、
安心して増産できるセーフティーネットの整備を急ぐべきとしています。
Grean Loop編集部コメント
「効率」や「集約化」といった言葉の裏で、地域の命綱ともいえる農村コミュニティが失われつつあります。
持続可能な農業を支えるには、規模の論理ではなく**“人と土地をつなぐ仕組み”**の再構築が必要です。
地方を切り捨てるのではなく、全国の農村が共に支え合う循環型社会への転換こそが、これからの日本農業の鍵といえるでしょう。
出典：日本農業新聞（2025年10月30日掲載）
「農家、農村『集約化』で将来バラ色？ 二つの誤り、農村維持へ政策転換を 東京大学特任教授・鈴木宣弘氏」
（Yahoo!ニュース掲載記事リンク）
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