農業ニュース

ホップ苗に高温・乾燥耐性を付与する新技術 気候変動下での持続可能なビール原料確保へ

※本記事は、農業協同組合新聞(JACOM)2025年9月16日掲載
「ホップ苗に高温・乾燥耐性を付与する技術を開発 気候変動に対応したビール原料供給へ キリンHD」
(https://www.jacom.or.jp/saibai/news/2025/09/250916-84458.php)を参考に、Grean Loop編集部が再構成・解説したものです。

高温・乾燥への耐性を後天的に付与できる苗作成技術

キリンホールディングスの飲料未来研究所と中央研究所は、気候変動による猛暑・干ばつでホップの収量や品質が低下する課題に対応するため、高温・乾燥への耐性を後天的に付与できる苗作成技術を開発しました。

従来の品種改良や遺伝子組換えを伴わず、ホップ本来の香味品質を損なわない点が大きな特徴で、持続可能なビール原料供給への貢献が期待されています。

農業協同組合新聞より引用

技術の概要

  • 液体培地でホップ苗を大量に増やす工程で「25℃・6週間」の熱処理を実施

  • これによりホップに後天的な高温・乾燥耐性を付与

  • チェコ品種「ザーツ」、ドイツ品種「ヘルスブルッカー」で実証

この技術は2025年6月、国際ホップ生産団体(IHGC)の科学技術会議で発表されました。

実験と試験圃場での成果

  • 実験室評価:熱処理苗は未処理苗より草丈・クロロフィル含量が高く、生育不良の改善が確認

  • 圃場試験(岩手県江刺市):草丈や地上部重量が増加し、毬花(まりばな)の収穫量も多い傾向

今後の展望

  • 苗の大量生産技術の高度化

  • 熱処理による生理学的変化の解明

  • 複数品種・圃場での検証

  • 海外での実装化の検討

Grean Loop編集部コメント

ホップは冷涼な気候を好み、地球温暖化の影響を受けやすい作物です。ビール需要の安定に向け、こうした「栽培環境に左右されにくい苗」の開発は極めて重要です。今後は、海外の主要生産地でも適用が進めば、ビール原料の供給リスクを大幅に減らす可能性があります。気候変動に立ち向かう農業技術の一例として注目したい取り組みです。

出典
農業協同組合新聞(JACOM)2025年9月16日掲載
「ホップ苗に高温・乾燥耐性を付与する技術を開発 気候変動に対応したビール原料供給へ キリンHD」
https://www.jacom.or.jp/saibai/news/2025/09/250916-84458.php)

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