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米どころ新潟で深刻な渇水被害、JAと行政が対策に奔走

※本記事は、農業協同組合新聞(JACOM)2025年7月31日掲載「米どころ新潟で渇水深刻 田はひび割れ稲の枯死も JAと行政、対策に懸命」(https://www.jacom.or.jp/kome/news/2025/07/250731-83586.php)の内容をもとに、Grean Loop編集部が再構成・解説したものです。

記録的な少雨が続く新潟 稲作に深刻な影響

日本有数の米どころ・新潟県が、かつてない規模の渇水に見舞われています。とくに上越市では、ひび割れたほ場や枯れ始めた稲が各地で確認されており、JAと行政が一体となって緊急対策に乗り出しています。

2025年7月末の時点で、24時間降雨量5ミリ未満の「干天日」が35日連続。これは過去の渇水年(2018年=29日、2023年=28日)を上回る厳しさです。

出穂期に水が来ない——収量と品質に不安

稲作にとって極めて重要な「出穂期(しゅっすいき)」を目前に控え、水田には水が行き届かず、一部では稲が枯死する事態が起きています。

JAみなみ魚沼の担当者は「川もため池も水が減り、1週間以上水が来ないほ場もある」と述べ、収穫量と品質への影響を懸念しています。

また、JA佐渡では「6月22日から一滴も雨が降っていない。特に天水田は干上がっている」と危機感を強めています。

中山間地で顕著な被害 上越市のダム貯水率は13.5%

被害が特に深刻なのが中山間地域です。JAえちご上越によると、上流で水を取ると下流に水が届かないため、平場の農地でも用水の確保が難しい状況。

上越市の正善寺ダムの貯水率は13.5%(7月29日現在)にまで落ち込み、事態は極めて深刻です。

同市は早くも「農地渇水・高温対策本部」を立ち上げ、8地区でひび割れ、7地区で枯死が確認されたと報告しました。

JAと行政が連携、あらゆる対策を動員

被害を最小限に食い止めようと、JAと各自治体はあらゆる手を尽くしています。

JAの対策例

  • 液体肥料のドローン散布(JA佐渡)

  • 井戸水や地下水の汲み上げ(JAみなみ魚沼)

行政の支援例(上越市)

  • かん水用機械の借り上げ・購入費用支援

  • 燃料・電気料金支援

  • 消雪用井戸の開放

  • 農地渇水・高温対策支援金 約1,460万円を計上

新潟県としても、「番水(用水供給の間隔調整)」や、ダムからの追加放水といった広域的な水の運用を強化しています。

「水がなければ何もできない」——恵みの雨はいつ?

気象庁は7月25日、「長期間の高温と少雨に関する情報(第2号)」を発表。日本海側を中心に記録的な少雨が続き、「今後10日間はこの状態が続く」との予測を出しました。

7月29日には、農水省の小泉進次郎農相も「一部地域で水不足の懸念が相当出ている」と述べ、現地の実態把握と支援強化の必要性を語りました。

編集部コメント

「水がなければ始まらない」——その現実が今、米どころ新潟で突きつけられています。持続可能な農業とは、安定的な水資源の確保と直結しています。農家・JA・行政・国、それぞれが連携し、この危機をどう乗り越えていくかが問われています。

農業協同組合新聞(JACOM):
https://www.jacom.or.jp/kome/news/2025/07/250731-83586.php

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