※本記事は、農業協同組合新聞(JACOM)2025年8月1日掲載
「渇水・高温対策本部を設置 水利施設管理強化事業の積極活用を指示 農水省」
(https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2025/08/250801-83653.php)を参考に、Grean Loop編集部が再構成・解説したものです。
気候変動を受け、渇水・高温対策を本格始動
農林水産省は2025年7月30日、新たに「渇水・高温対策本部」を設置し、翌31日に初会合を開催しました。これは「気候変動の影響が顕著になってきた」(農水省)ことを受けた初の取り組みであり、従来の節水対策を超えた対応が求められています。
小泉進次郎農相は、農業現場への迅速な支援を目的に以下の3つの柱を指示しました。
小泉農相が指示した3つの対策
① 情報発信と現場支援の強化
国土交通省や自治体と連携し、渇水・高温に関する情報を的確に発信。節水の働きかけや応急ポンプの貸し出しも積極的に行う。
② 新設補助制度の積極活用
今年度から始まった「渇水・高温対策」枠付き補助制度をプッシュ型で展開。渇水傾向の地域に対し、ポンプ調達や運転経費を支援。
③ カメムシ類被害への警戒と防除
斑点米カメムシ類への対応を強化。地方自治体と連携し、一斉防除の追加実施も視野に入れた支援を検討。
水利施設管理強化事業に新枠追加
「水利施設管理強化事業」には2025年度から「②渇水・高温対策」枠が新設されました。これは以下の内容を国庫補助するものです。
渇水時の事業継続計画(BCP)策定
ポンプの調達・設置・運転費用(補助率:1/2)
これにより、これまで応急対応のみだった施策に、恒常的な備えが加わることになります。
すでに新潟の一部地域で活用が進んでいるとの報告もあります。
現場の状況:全国17河川で取水制限中
国交省の資料によれば、7月28日時点で北海道、東北、北陸、近畿、中国地方の14水系17河川において取水制限が実施中。農業用水の確保や土地改良区による節水対応が迫られています。
なお、中国地方整備局と東北地方整備局では、すでに独自の渇水対策本部が設置済みです。
高温障害とカメムシの対策も同時進行
気象庁は8月〜10月にかけて全国的に平年より気温が高くなると予測しており、農水省では高温耐性品種の種子増産を支援。
さらに、斑点米カメムシ類(イネカメムシなど)については、7月30日時点で全国27道府県で33件の注意報が発令されています。警報は未発令ながら、3回目の防除実施も検討されています。
編集部コメント
今後ますます激しくなると予測される気候変動に対し、農業インフラの“守り”をどう強化するかが大きな課題です。渇水や高温の影響を最小限に抑えるためには、国の施策を待つだけでなく、自治体や農業者自らの計画的な備えが求められる段階に来ています。
出展
農業協同組合新聞(JACOM)
「渇水・高温対策本部を設置 水利施設管理強化事業の積極活用を指示 農水省」
掲載日:2025年8月1日
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2025/08/250801-83653.php
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