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高校生が伝統作物をゲノム編集で進化!「最上紅花」の品種開発に挑む置賜農業高校が最優秀賞

※本記事は、SMART AGRI掲載(2025年7月23日)
「第9回高校生科学教育大賞、最優秀賞はゲノム編集で品種開発に挑戦する山形県立置賜農業高等学校」
https://smartagri-jp.com/news/11770)を参考に、Grean Loop編集部が再構成・解説したものです。

ゲノム編集で伝統作物を未来へつなぐ

バイテク情報普及会が主催する「高校生科学教育大賞」の第9回受賞校が発表され、最優秀賞には山形県立置賜農業高等学校が選出された。同校は、山形県の伝統作物「最上紅花(もがみべにばな)」を題材に、ゲノム編集技術を用いた新品種開発に取り組んでおり、その意欲的な姿勢が高く評価された。

本賞は、植物バイオテクノロジーや持続可能な農業に関する高校生の科学教育活動を支援するもので、採択校には最大100万円の活動費が支援される。

第9回高校生科学教育大賞、最優秀賞はゲノム編集で品種開発に挑戦する山形県立置賜農業高等学校より引用

最上紅花に宿る“未来の可能性”

置賜農業高校の研究テーマは、「山形県の花『最上紅花』の遺伝子解析およびゲノム編集による新品種開発」。

抗酸化成分カルタミンの増加や病害虫への耐性付与を目指し、伝統作物の改良に先端技術を導入するという取り組みは、ベンチャー企業のような挑戦精神を感じさせる内容。さらに、地域資源の有効活用にとどまらず、加工食品開発まで見据えた展望や、小中学生・メディア向けのアウトリーチ活動も計画している点が評価された。

特別優秀賞:生徒主体の発信力に注目

以下の2校が特別優秀賞に選ばれ、それぞれ15万円の支援を受ける。

  • 大分県立大分舞鶴高等学校(大分県)
    植物の防御応答遺伝子を解析し、その成果を中高生向け講習会として展開。廃棄パン酵母を活用した成長促進の独自アイデアも高評価。

  • 兵庫県立農業高等学校(兵庫県)
    DNAマーカーを用いた酒米「山田錦」の育種研究。日本酒醸造までを視野に入れた実用性の高い計画と、研究機関との連携が評価された。

優秀賞:地域や環境とつながる多彩な研究

以下の3校が優秀賞として選出され、各校に5万円が支援された。

  • 津田学園高等学校(三重県)
    タデ藍に含まれるインジカンの収量変動要因を解明。植物のストレス応答研究に波及する可能性を持つ取り組み。

  • 愛知県立安城農林高等学校(愛知県)
    ニホンミツバチを誘引するキンリョウヘンの遺伝子配列の探索。RNAシークエンスなど高度な分子生物学手法を高校生が活用。

  • 広尾学園高等学校(東京都)
    大腸菌によるナリルチンの合成に挑戦。アレルギー対策物質の生産に加え、絵本やアプリを通じた啓発活動も展開予定。

バイテク情報普及会賞:科学と遊びの融合

東京都立科学技術高等学校(東京都)
DNA抽出実験と脱出ゲームを組み合わせた文化祭出展企画で受賞。誰もが楽しく科学に触れられる発想が評価された。

高校生が切り開く“未来の農と科学”

第9回高校生科学教育大賞では、単なる技術の習得にとどまらず、地域・社会・未来への貢献を見据えた研究が多く見られた。中でも置賜農業高校の「最上紅花」への挑戦は、伝統と先端が融合する次世代農業の象徴ともいえるだろう。

こうした若い世代の科学的挑戦が、持続可能な食と農の未来を形づくっていく。

Grean Loop編集部コメント

伝統作物「最上紅花」にゲノム編集という先端技術を組み合わせた置賜農業高校の研究は、単なる農業教育の枠を超え、次世代の地域資源活用モデルとしても注目すべき内容です。

とくに、高校生たちがSNSや動画といった発信手段を自ら活用している点は、科学教育と社会との接点づくりという意味でも大きな意義があります。

今後は、このような地域密着型×科学技術の教育活動が、全国各地に広がっていくことを期待したいと思います。

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